2024年リハビリテーション科専門医試験を振り返る

リハ科専門医試験対策

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2024年7月に、リハビリテーション医学会専門医試験を受けてきました。

今後受験する先生方へ参考になればと思い、振り返りつつ情報を書いておきます。 

※これを書いている時点では、合否の結果はまだ出ていません。

2024.8.6追記:合格していました!良かったです。しかし、試験を通して気づいた課題がたくさんあったので、これからも頑張っていこうと思います。

この記事はこんな人向け!⁠⁠

  • リハビリテーション科専門医試験を受ける予定がある
  • リハビリテーション科専攻医(専攻医1年目から見とくとおすすめ)
  • リハビリテーション専門医資格取得を視野に入れている・興味のある他科の先生

⁠これについて書いてあります

  • 2024年の試験当日の日程、所要時間
  • 問題内容
  • 試験対策方法
  • ちなみに2024年に受けた私の手応え…

このページでは省く内容

  • 専門医試験を受けるための条件
    • レポート提出をはじめいくつか条件がありますが、このページでは割愛します。

新制度or旧制度

  • 現在、新専門医制度でリハ研修を行っておられる先生は、「研修プログラム制」(又は「研修カリキュラム制」)での受験になりますが、私は「旧専門医制度に基づく研修を2018年3月までに開始した者」に該当し、「旧制度」での受験でした。研修制度が違うと、受験を受けるために準備するレポートや研修場所などの条件が変わってきます。しかし、試験問題自体はおそらく同じだと思います。

日程

所用時間

  • ⁠1日目:筆記試験  150問
    • 12:00 受付開始
    • 13:00 着席完了、試験説明
    • 13:30~16:30(3時間) 試験
  • 2日目:口頭試問 人によって集合時間が変わる。下記は私の場合。
    • 8:35 受付開始
    • 9:15 集合完了、試験説明
    • 9:55 口頭試問開始
      • 前半30分(B範囲の症例問題+レポート問題)
      • 5分の間に移動
      • 後半30分(A範囲の症例問題+レポート問題)

      ※30分と書きましたが、25分だったかもしれません。

試験内容

筆記試験

⁠出題傾向や範囲は過去問とほぼ一致しています。学会公式の問題集「リハビリテーション医学・医療Q&A」に載っている内容も多く出でました。

口頭試問

⁠試験官は2人です。「緊張しなくていいですからね」と言われ、試験でしたが堅い空気はありませんでした。

  • 症例問題
    • 症例情報が書かれた紙を渡されるので、初めに黙読する。「読み終えたら教えてください」と試験官に言われる。
    • 問題の出題数はA・B問題それぞれ確か4問ぐらい。
    • 問題内容は学会公式問題集「リハビリテーション医学・医療Q&A」に載っているものとほぼ一致。医学的なこと、家族への説明をどうするか、介護・福祉の制度、用具や装具などの処方についての流れ 等。
    • A・B共に、患者さんが急性期病院から回復期病院へ転院したタイミングで主治医となったケースを想定しての問題でした。
  • 受験者が書いたレポートから出題
    • 試験官2人からそれぞれ出題。
    • 自分が書いたレポートは印刷されて受験者に渡され、手元にある状態で解答する。
    • 私が聞かれたこと
      • 透析患者さんへの切断・義足作成の症例→慢性腎臓病の人は日本に何人いるか知っていますか?どのようにこの義足を選択しましたか?
      • パーキンソン病患者さんの症例:自宅へ帰るときに介護サービスの導入など行いましたか?そう判断するに至った根拠は何ですか?

試験に向けて考えられる有効な対策

筆記試験

下記の問題内容を理解できていれば試験の8割は正答できるのでは?と思うぐらい本番でもたくさん出たので、下記の2つをしっかりやるのが大事だと思います。

  • 学会公式の問題集「リハビリテーション医学・医療Q&A」
  • 過去問(直近2年やれば十分かも)

過去問は何年分もたくさん解くより、1・2年分でいいので、わからなかった問題を周辺知識含めてきちんと理解するほうが大事だと思いました。

↓こちらが学会公式の問題集「リハビリテーション医学・医療Q&A」です。

解説も充実してました

口頭試問

  • ⁠症例問題は、「リハビリテーション医学・医療Q&A」に掲載されている口頭試問の問題の内容はしっかり答えられるようにする。
  • リハが関わる社会制度や申請方法を説明できるようにしておく。
    • 介護・福祉サービスを利用するにはどうしたらいいか?介護申請、身体障害者手帳の申請etc.
    • 装具…治療用or更生用? どの制度が使える(障害者総合支援法の理解は必須)?
  • レポートからの問題は、レポートに書いたリハ訓練内容や検査法や装具の選択など、しっかり理解している必要がある。
    • 自分でレポートに記載した内容なのに理解が不十分な部分があると、試験でそれが発覚した時に即不合格になる…と噂に聞きました。
  • 正しく答えられなくても周辺知識を話すなどして自分なりに解答し、「分からない」と言ってしまわないことが大事。
    • 複数の先輩リハ医の先生から聞きました。

ちなみに私の場合

  • 背景:7月の試験でしたが、妊娠を機に体調不良が続き4月から勤務していませんでした。仕事から離れリハの臨床に触れる機会が減ったうえに、身体もしんどくて1日1時間勉強できればいい方だったので、あまり試験対策ができませんでした。また、リハ研修期間に睡眠リズム障害を中心に病休期間があり、3年で済む研修期間が5年かかってしまったため、口頭試問にも関係する症例レポートはものによっては4-5年前に経験した症例となり思い出すのが難しかったです。レポートを振り返ると当時一緒に担当していた療法士さんの顔が浮かんだのですが、中には傷つく対応をされて落ち込んだ症例もあり、ただでさえ体調が悪くて試験勉強が進まないのにメンタルダメージがひどかったので、レポート対策は何もしません(できません)でした。
  • 本番、手ごたえ:筆記試験は、150問のうち「これは理解して答えられた!」と思う問題数は7割ぐらい…。それが本当に正解しているかは分かりません。分からなかった問題のうち、過去問や問題集で見た内容がたくさんありました。口頭試問については、基本的な医学知識や制度については答えられたように思いますが、レポートからの出題が特に散々だったと思います。言ってはいけない「分かりません」も言ってしまった気がするし、自分で書いた義足の処方について理解が曖昧ではっきり解答できませんでした。(義足の選択や処方自体は上級医の先生が行ったものを引きついだ症例でした。引き継ぎ症例でも、その処方が妥当であったか等、自分の考えを持たなくてはいけなかったと反省しています。)正直、試験に落ちていても受かっていても、どっちでもおかしくないと思っています…。

個人的な考え

⁠リハビリテーション科専門医の試験の合格率は80-90%ぐらいのようで、上記対策ができていれば大きな問題がない限り合格を目指せそうだと思います。

他科の専門医試験を受けたことがないので比較できませんが、他の科の友人にリハの口頭試問の内容を話すと興味深そうにされ、特に「患者・家族にどう説明しますか。試験官を患者・家族だと思って実際に答えてください」というのが珍しいようです。

リハは臓器に特化せず、臨床医のどの科と比較しても最も『臨床』なのでは?と個人的に思っており、やはり患者さんとどれだけ真剣にリハに向き合うかで、身につく経験や知識が違ってくると思います。なんとなくリハ処方して、自分でなにも考えずに訓練はすべて療法士さんに丸投げして、なんとなく次の病院へ紹介して…では試験に受からないのはもちろん、リハ医として恥ずかしい状態だと思います。

上記に挙げた対策はもちろん行うとよいと思いますが、それ以前に、目の前の患者さんへ積極的にリハを取り入れる姿勢を続けることが、患者さんのためになるのはもちろん、案外一番の試験対策になると思いました。

まとめ

  • 参考書「リハビリテーション医学・医療Q&A」や過去問の内容を理解している
  • 自分の担当した症例について理解し説明できる
  • 普段の臨床現場で地道にリハの仕事に取り組んでいる

これらのことができていれば、合格するのは困難ではないと思います。

仕事をしながら座学の時間はなかなか取れないかもしれませんが、時間効率よく勉強していきましょう!

(個人的に、時間がとれない中で割と効率よく勉強できたと思うので、その方法はまた別の記事で紹介します。)

コメント

  1. 手取川文音 より:

    同じく今年リハ専門医試験を受けた者です。私も口頭試問で義足処方について問われました。自分が処方した義足については説明できるよう準備していたのですが、「なぜその義足を選んだのか、別の種類の義足を処方した方が良かったのでは?」と聞かれ全く答えられませんでした…お互い受かっていると良いですね。

    • 手取川文音さん コメントありがとうございます! 同じようなことを口頭試問で聞かれたんですね。 私も、なぜ他の義足ではダメだったのかと聞かれると詳しくは答えられないです。その方のADLや年齢的に、このソケット・継手が妥当だなど、と大まかにはなんとなく分かっていたのですが、明らかに自分の理解が少なかったことを痛感しました。 今後、もっと積極的に義肢選択できるためにも、今回得た気づきを活かしていきたいと思います!

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